[3日 ロイター] - 米労働省が発表した1月の雇用統計は非農業部門雇用者数が22万7000人増となり、市場予想の17万5000人を上回って増加した。

特に建設業と小売業で雇用が拡大したことで、4カ月ぶりの大きな伸びとなった。雇用と景気の拡大を目指すトランプ新政権の追い風となる可能性がある。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●労働市場のひっ迫やインフレ圧力みられず

<BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏>

労働市場が非常にひっ迫し、追加刺激の漸進的な増加が賃金上昇やインフレを引き起こすとの思惑が金利圧力の背景にあるが、足元そうした状況はうかがえない。失業率が悪化したのは労働参加率が上昇したためだ。

今回の統計で残念だったことは、時間当たり平均賃金の前年比の伸びが前月から鈍化したことと、過去分の雇用者数が下方修正されたことだ。インフレ圧力は米連邦準備理事会(FRB)に対応を促すものとして注目されるが、まず賃金面で圧力がみられないと、消費動向全般にもインフレは波及していかないだろう。

●賃金の伸び弱く、3月利上げより慎重に

<アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏>

雇用創出が引き続き堅調だったものの、賃金の伸びが弱かったことが改めて示され、労働市場動向に再び疑問符が付いた。賃金の伸びが弱く、連邦準備理事会(FRB)は3月利上げに慎重姿勢を強めるだろう。

●臨時雇用の維持示唆、賃金伸び鈍化は小売り業反映

<アメリプライズ・ファイナンシャル・サービシズのシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏>

1月の雇用統計のプラス材料は、臨時雇用が維持されたことを示唆している点だ。伸びの一部は小売業が占めているが、穏やかな気温が寄与し、天候に左右されやすい建設業などの雇用も押し上げた。

経済は引き続き極めて健全な状態だが、賃金の伸びは鈍化した。これは賃金が低い小売り業を反映しているだろう。

総じて労働市場は堅調で、経済に寄与するペースで拡大している。米連邦準備理事会(FRB)は3月会合まで様子見姿勢を取る公算が大きい。

●失業率上昇は求職者増加が要因、堅調な内容

<RBCキャピタル・マーケッツのチーフ株式ストラテジスト、ジョナサン・ゴラブ氏>

良い内容だ。非農業部門雇用者数の伸びが力強く、民間部門の雇用者数も堅調だ。失業率が上昇したことで、弱めの統計と評価する向きもいるかもしれないが、これは求職者が増えたことが要因だ。

労働市場は好調で、賃金圧力も想定ほど悪くないことを示している。このような雇用統計が続けば、賃金に圧力がかかる。これは今後数カ月の注目点だ。

●年内3回の利上げ予想、単月指標で見通し変わらず

<コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏>

雇用統計はまちまちの内容となった。雇用が驚くほど伸びた点は確かに安心できる。さらに重要なのは、労働参加率が上昇したことだ。様子見をしていた人が、求職活動を促されたことを示している可能性もある。良い兆候だ。

最大のマイナス点は、賃金動向がかなり軟調だったことだ。ただ、このことで連邦準備理事会(FRB)の行動が遅れるとは思えない。雇用動向は非常に底堅く推移している。完全雇用状態に向かっているのは明らかで、上向きの賃金バイアスも確実に続くだろう。1、2カ月分の統計で、FRBの政策見通しは変わらない。年内3回の利上げ予想を維持する。

引用:ロイター