力強い雇用、為替政策の不透明感を拭うには不十分

独財務相、ユーロ安めぐる米政権の批判を一蹴

3日のニューヨーク外国為替市場ではドルが小幅安。週間ベースでは6週連続下落となり、週間での下落率は昨年7月以来の最大となった。1月の米雇用統計では雇用が堅調に伸びた一方、賃金上昇圧力の兆しはほとんどないことが示された。トランプ米政権のドル政策に関する不透明感を背景に、ドルは引き続き守勢に立たされている。トランプ政権はイランに対し追加制裁を科した。

  賃金の伸びは米金融当局が年内利上げペースを加速させるよう圧力を受けることがほとんどないことを示唆した。これを受けて、ドルは上げを消した。年内利上げは現在のところ2回か3回と予想されている。シカゴ連銀のエバンス総裁は同データは強かったとし、今年2回か3回の利上げでも違和感はないかもしれないと述べた。

  ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.1%低下。ドルは対ユーロで0.2%安の1ユーロ=1.0783ドル。対円では0.2%安の1ドル=112円61銭。
 
  ドルの方向感は今のところまだ定まっていない。今週のトランプ氏の為替に関するツイートが政権のスタンスを示すほぼ唯一の手掛かりとなっている。米財務長官に指名されたムニューチン氏は承認待ちの状況だ。
  ドイツのショイブレ財務相は、同国が貿易上の不公正な優位性を得るため、過小評価された通貨を利用しているとの米新政権の批判を一蹴し、ユーロの為替レートを設定しているのは政府ではないことをトランプ大統領の側近は明らかに理解していないと切って捨てた。
 
  ドルは、わずか数週間前まで長期的な投資家にとって買い持ちを開始するのに魅力的だと考えられていた水準に接近しているものの、米為替政策のシフトの方が堅調な経済や利回り上昇によってもたらされ得る優位性よりも影響力が大きくなる可能性があると、複数のトレーダーらは匿名を条件に話した。
 
原題:Dollar Drops for Sixth Week as Pace Accelerates; NFP No Comfort(抜粋)

引用:ブルームバーグ